東丹沢

 
 5月。 釣りをするにも自転車にもいい季節。 だが、この時期が一番というものがある。
 
 それは山登りなんですな。3月ごろだとまだ肌寒いし、梅雨時はダメだし、夏は暑すぎるし虫も多いので敬遠したくなる。 新緑と紅葉の時期が美味しい時だけハイカーである自分の山登りシーズンなのだ。 
 
 ちなみに去年の春に浅間尾根をクリアしたので、今回はどっか別のとこ行こうかと、「関東周辺里山低山ハイキング」をパラパラめくって見ているうちに候補は2箇所に絞られた。
 
 青梅線軍畑駅からすぐ登れる高水三山(高水山、岩茸山、惣岳山)と本厚木駅からバスに乗って行く東丹沢(高取山&仏果山)周辺だ。 どちらも登戸駅からあまり乗り換えの必要がないので迷ったが、これまであまり行ったことのないほうにしてみるかということで東丹沢に決まった。 で、地図を買いに行ったのだが、「二万五千分の一・厚木」が売り切れていたので昭文社の「山と高原地図・丹沢」にした。 愛川町の商工課にもパンフレットを送ってもらったのだが、出発に間に合わなかったので地図は5万分の一だけだ。
 
 *   *   *
 
 登戸のコンビニでオニギリを買おうと思っていたのだが、梅干入りのがなかったので厚木で買うことにしてさっさと電車に乗り込む。 が、厚木を降りたところで丁度バスが来てしまい、慌てて飛び乗ったのでオニギリを買いそびれてしまった。 こんなこともあろうかと一応カロリーメイトエナジーゼリー、シリアルバーを前日に薬局で買っておいたのでよかったが、コンビニを過信するのもあかんね。
  
 バスに揺られて綺麗な川沿いを行くと、目的地である撚糸組合バス停に到着。
 

ここから登山口を目指す。 神社の脇の小道を通っていくとホタルの養殖場が。ここは撚糸のほかにホタルも名物なのだね。

 


 沢沿いに進んでいくと、それぞれの登山道の入り口の分岐に差し掛かる。 まずは目指すは高取山なので物々しい車両通行止めゲートの脇を抜けて林道を行く。 ここは作業者専用道なので一般車両は立ち入り禁止なのだ。 

 
 舗装された林道を進んでいくと、登山口を示す案内板がひょいと立っている。 階段があるわけでなく、横の沢のほうに向かって「沢を横断して対岸へ」となっている。 舗装された林道からいきなり沢を越えて何かが出そうな森の中の道になるので微妙にびびる。 少し先へ進むと有刺鉄線の柵と金網の扉があり、扉を縛っている針金を解かないと先へ進めない。

 
これは鹿の侵入を防ぐためのものなのだが、大楠山とか浅間尾根ではこんなものなかったのでなかなか緊張が走る。  そして坂を登りつつ進んでいくと、巨大なミミズ・・・と思ったら、先っちょが舌ペロペロ・・・・。

ヘビじゃねーか!
 
 針葉樹林帯でエサもあまり多くなさそうなのに頑張るなあと思いつつ、咬まれるのも嫌なのでできるだけ離れて通過した(比較的おとなしく、毒もないジムグリらしい)。 しばらく進むと林道に出てやや展望が開ける。ふと後ろを振り返ると・・・

wow! いい眺めだ。
入り口からここまでは薄暗い針葉樹帯だったが、明るい新緑が鮮烈な広葉樹が現れる。周囲を眺めると色の濃い針葉樹帯と明るい広葉樹帯にいくつも分かれているようだ。 この時期は広葉樹の葉の色がくっきり明るいのでコントラストが大きく、目に刺激的だ。 といっても緑なので目に優しい。 

 

 
 明るい緑の道をしばらく進むとまた鹿止めゲートがあり、そこからまた真っ暗針葉樹林帯・・・となっており、変化に富んでいて実に飽きない。

 
 道もわかりやすく、何度も地図をチェックする必要もないので助かる。 調子こいてずんずん進んで見晴らしがよくなってきた、と思ったら既に高取山頂上であった!じゃーん!

  
でかい蜂がいるのか羽音が煩わしいが、眺望は素晴らしい。ベンチのある側は厚木の市街地方面だが、展望台の上に登ると木の上になるので宮ヶ瀬湖や丹沢方面の眺望も楽しむことができる。


展望台から宮ヶ瀬湖&丹沢連山の眺望
 
 ここでちょっとカロリーメイトエナジーゼリーを啜ってから次なる目標仏果山を目指す。 途中宮ヶ瀬越という尾根道を通るのだが、あからさまに急な下りなのでやや損をした気分になる。そして、そんな気分に追い討ちをかけるように恐れていた表示が。
 
「山ビル注意!」

 
ガイドブックにも警告されている山ビルだ。元は丹沢奥地にしかいなかったのが、鹿の生息範囲の拡大によって広がっているらしい。一応用心のために靴の中と靴下にたっぷし塩をすり込んであるのだが、ディートは使いたくないので忌避剤は用意していない。 おそるおそる進んでいくのだが、ここ数日間天気が良く、登山道に落ち葉も積もっていずにカラカラに乾燥しているため心配すること無かった様だ。 ただ、この後梅雨入りしたらどうなるか判らない。
 

そしてこのあたりで不思議な鳴き声がしてきた。 キジバトとも微妙に違うようだし、フクロウかなんかだろうか?気にしているうちにすっかりヒルの事は忘れてしまった。 

 宮ヶ瀬越から仏果山の登りはこれまでと打って変わってきつく急峻になる。 一応整備されてはいるのだが、勾配が急なのと、階段も段差が大きいので運動不足の身にはかなり応える。一部鎖場とまでは行かないが、ロープを掴んで上るようになっているところもある。 たかが700m級の山と思って舐めてはいけないのである。

 
 ヒイヒイ言いながら、やや平坦なところに出たと思ったら、そこが仏果山の山頂であった。 広葉樹なので明るいが、山頂全体が木に覆われているので全方位に眺望が利かない。 ただ、ここも高取山と同じく鉄骨の立派な展望台があるので登れば全方位素晴らしい眺めが楽しめる。 丹沢山塊、宮ヶ瀬、厚木の市街地と。
 

丹沢連山主峰・蛭ヶ岳とかそのへん
 

 
 ここでも休憩はそこそこに次へ進む。 が、行き先を決めていたのはここまでで、何処から下山するか決めていなかったのだ。 宮ヶ瀬越まで戻り、仏果山登山口バス停方面に下りるか、半原腰まで行って土山峠方面に下りるか、半原越から経ヶ岳経由で半僧坊まで前まで頑張るか・・・・。

 一度通ったところをまた引き返すのは嫌なので、まあどっちにしても半原越までいってそこで体力に相談して決めよう・・・と思ったのだが、なんとここで下りルートを盛大に間違えていたらしく、半原越に向かっているつもりで最初にスタートした撚糸組合のバス停へ向かう仏果山ハイキングコースをまっすぐ下っていたのであった。

 途中には無いはずの立派な林道を越えたのでなんか変だなと思うべきだったのだが、ここに来るまでずっと綺麗に整備された登山道があり、地図を見なくても迷う心配ないやとナメていたが故のミスだった。
ただ、この期に及んで「間違ったところでこの登山道を頼りに進めば遭難することはあるまい」と高を括っていたのも事実であるが・・・。 

 途中またもヘビ(ジムグリ)に遭遇。 どこも鹿とか猪とか猿の被害や熊出没が話題になるが、自分は哺乳類との遭遇運が無いらしく野ウサギ一羽すら遭遇したことが無い。ヘビやトカゲにはやたらと遭っており(沖縄ヤンバルでは琉球ミドリカナヘビ多摩川や野川、はては自宅の庭でアオダイショウ、式根島でシマヘビ・・・と)、爬虫類遭遇運だけはあるのだが・・・・。 

 その綺麗な登山道を下っているうちに市街地がどんどん近づいてきて、しまいに立派な車道に出てしまった。 ここにはヤマビル注意の看板とともに、ご丁寧に登山者のために忌避剤のスプレーまで設置されている。 ここが「真・仏果山登山口」なのであった。 

 立派な橋を渡っていくと、もう「森林終わり!こっから市街地!ここからは人間のテリトリー!」てな感じになってしまった。 ここから撚糸組合・半原・愛川ふれあいセンターいずれかのバス停まで行かねばならないのだが(土日だと宮ヶ瀬湖周辺を周回する無料のシャトルバスがある)、なんと別の登山者の車に便乗させてもらい半原バス停まで連れて行ってもらってしまった。 しかも、バス発車3分前のタイミングでバス停到着という・・・・。 なんかミスを見ず知らずの人にフォローしてもらったようで申し訳ない。  次はちゃんと地図・現在地・ルートのチェックをせねば・・・・。