島旅2012 式根島〜新島(3)

 
 血の飛び散ったテントで寝たせいかスプラッターな夢を見てしまい何度か変な時間に目が覚めてしまった。おまけに寝ぼけた状態で耳を澄ますとパシャパシャと雨音がする。 週間予報で2日目(20日)はイマイチの天気というのは聞いていたが、さすがにしっかりと降られると気が滅入る。 テントは雨に強いムーンライトなのでそれ程心配することはないのだが、昨日の昼間のように30分かそこらちょろっと降ってもすぐカラッと上がってしまうのならともかく、一日降られるとなあ・・・等と考えつつまた眠りに落ち、暑苦しさで目が醒めると雨はすっかり上がっていた。 まだ眠いのでテント内でゴロゴロしていたが、明るくなってきたところで諦めて起床しささっと朝食にかかる。 真夏のテント泊では朝は食欲もないし、作るのも面倒なのでクラッカーと野菜ジュース、ギョニソやスライスチーズといったところになるが当然今日もその定番メニュー。
 
 朝食を済ませたら3点セットとカメラを持って泊浦に向かう。まだ8時だというのに「夜中の雨と予報は無かった事にしましょう!」という肌を灼くような快晴で思わず「ふふふふふ勝ったな」などとほくそ笑んでしまう。 真夏の遊びは天気が物を言うのだ。

 さて、これまで大浦と中の浦では潜っているが泊浦でのスノーケリングは初めて。 と言うのも、岩場が多くスノーケリングポイントとして定評のある前2つに比べてこちらは砂浜海岸であまり豊富な生き物が期待できない。なのでなにかと後回しになってしまったのだ。 今回はハシゴできるだけの時間もたっぷしあるので、海水浴場として紹介されているところは全部回ってしまおうという計画なのだ。


 朝8時という時間では当然誰もいず、海岸を独り占めっ!

独り占め!
 

 ところが、海の中はまだ完全に目が覚めていないのかちょろっと回遊魚が出迎えてくれた以外はあまり魚の気配がない。


回遊魚
  
右側の岩場のほうが魚が一杯いるかな?と方向転換して岩場に向かったのだが、凄まじい勢いでプランクトンが増えてきて、顔や露出している腕や足にチクチク当たって只ならぬ気配になってきた。 赤潮にはなっていないんだけど、半透明のプランクトンが視界一杯に広がり靄がかかってくるような感じでこれ以上進んでも良いことはなさそうである。
 
 昨日潜った大浦、中の浦とも無害なクシクラゲはいても有毒のアンドンクラゲはいなかったのでナメてかかってクラゲ避けのsafeseaクリームを塗らずに来てしまったのが仇になった。 こいつを塗っておけば突起が刺さってかぶれの原因になる「チンクイ」と呼ばれる甲殻類の幼生プランクトンもある程度防げたので気にずる事はなかったのだが、ノーガード戦法でこのプランクトンが濃厚な中に突っ込んで行くのはちょっとぞっとしない。
 そんなわけで右側の岩場は諦めて、遊泳区域のブイギリギリのところにある鉄柱が立っている岩場のほうに回ってみた。 


オヤビッチャ
 

キンメモドキ?

 ここでやっと小さいとはいえそれらしい魚に逢えたが、なんにしても大浦や中の浦に比べて物足りないので30分ほどで切り上げてキャンプ地に戻ることにした。

 
 大浦に戻るとやはりここはキャパが違う。海へ入るなり「ハーイいらっしゃ〜い」とにぎやかなお出迎え
 

お出迎え
  


クラゲも精一杯光を反射してアピール

 

るり色ダンサーズも乱舞

とりあえず全部回ると決めていても楽しくて時間が過ぎてしまう。 ただ大本命は中の浦なので重点的にルリちゃんをカメラに収めたら再び移動し中の浦へ。

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中の浦ではまたあいつらに…と思っていたのだが、昨日で青い海パンにシャツという大雑把な姿を覚えられたか、ポケットに入れてあるギョニソの匂いを感じ取っていたか(イシダイは魚の中でもかなり頭がいいほうなので前者かもしれない)、餌を取り出す前からものすごい勢いで取り囲まれてしまった。


 

 今日は主さん(ハマフエフキ)やうつぼちゃんには会えなかったが、定番の彼らや黄色せんべい
 

幸せの黄色せんべい
 

空色ダンサーズ

名も知らぬへんてこりんな奴とか
 

近づくとぴょーんと空中を跳ねて逃げる

陽の具合かイバラカンザシもいつもより艶やかに見えたりなんかしちゃって




・・・信号機?w

そして〆にはイカのベイビー登場


 
初日はうつぼちゃんにホンソメワケベラのクリーニング、二日目はイカというおまけにすっかり満足したので、とりあえずここでいったん切り上げてめしにすることにして石白川海岸へ向かう。
 
 池村商店まで引き返すのは面倒なので石白川海岸に行く途中にある「みやとら」で弁当を購入することにしたのだが、なんと別行動3人組が昼飯の食材を買っている最中だった。 朝一で泊浦に行き、さっきまでずっとそこにいたという。 自分はさっさと上がってしまったので入れ違いになったのだろう。 魚は少ないと思うのだが真っ白な砂浜の雰囲気が気に入ったらしくマッタリするには最高とのことだった。 絶賛した手前満足してもらえず式根に偏見を持たれたらどうしようと思ったのだがまずは一安心。
 
 こちらはまたすぐ海に入るので岩のり弁当を購入、飲み物は・・・海岸のそばの酒屋「宮房」前の自販機でビールを買ってしまった。海に入る前のアルコールは厳禁なのだけど・・・。そういや前もここに来たら気付くとビールを買っていた、恐らくここの自販機には恐ろしい磁力がある。
 
 石白川海岸のビーチ手前にある芝生の小さい広場に石のテーブルとベンチが据え付けられているので、蚊をパチパチと潰しながら岩のり弁当を頬張りつつビールを飲む。海岸を三ヶ所ハシゴしてスノーケリングした上にここまで歩いてきて太陽に炙られているので冷えたビールが喉に沁みる! 毎年夏に河原でBBQをやってしこたまビールを飲んで川に飛び込みそのままドザエモンになってしまう・・・なんてニュースがふと頭をよぎったが、350cc缶一杯ぐらいならまあ大丈夫だろう。 だいたいそこの海の家だってビール売ってんだし。 島を訪れる度に食ってる弁当だが、粗末な朝めしと長時間の運動でペッコペコになった腹にはフルコースに勝るうまさ。  しつこいようだが、池村商店とみやとらの岩のり弁当は式根に来たら食わないと損である!

しあわせの岩のり弁当

 腹が膨れたところで海水浴場ハシゴ最終目的地、石白川海岸に突入! ところが今は干潮で一番引いてる時間なので、「青松白砂が美しい」海岸も茶色いごろた石が露出し、ブイで囲まれた遊泳可能区域のうちでスノーケリングに向いた深さのところはごく僅か。
 

ホントはもっと綺麗なんですよー

 透明度も他のところに比べ数段落ちるのでこれじゃ期待できんな、と思ったが、何故かここは他3ヶ所に比べてやったらとハコフグが多く、おまけに何処の海岸でも見なかったハリセンボンが悠々と浅いところを泳いでいるので驚いてしまった。 ハコフグウミスズメは珍しくもないのだが、ハリセンボンに遭遇するのは神津島以来なのでちょっと興奮。 追い掛け回しているうちに危うくブイの外に出そうになってしまった。危ない危ない。


ハコフグ


ハリセンボン


 ハリセンボンがブイの外へ逃げてしまうとさして撮るものもないのでここでのスノーケリングは切り上げ、温泉タイムへと切り替える。 ここからだと「外科の湯」足付温泉が近いのでまずはそこから。 かつてホテルのあった海岸沿いを歩き、

通称「達磨の湯」 地鉈温泉の上で旅館をやっていた松林さんという人が作った混浴の温泉の名残だとか

 松が下雅湯を華麗にスルーし(泉質が地鉈と同じだからというのもあるが、熱過ぎて入れなかった)足付温泉へと踏み入れる。 昨日の夕方はぬる過ぎだったらしいが今日の湯加減はかなり熱め。 ここの温泉の湯加減と潮の干満はどういう因果関係があるのか未だによくわからない。


あつあつ足付温泉

 しばらく浸かっていたが、まだ陽がガンガン照りつける今の状況だとこの湯はちょっと熱すぎる。適当なところで切り上げ地鉈温泉に移動したが、これまた潮加減のタイミングが合わず、いい湯加減のところは腰ほどの深さもない状態だった。しばらく粘っていたらようやく潮が満ちてきて熱すぎ湯壷に水が入ってうまってきたが、今回は前二回に比べてどうも潮と月齢のタイミングが合っていないようだ。 後でもっと遅くに入ろうとしたという3人組に聞いたら煮えたぎった湯壷と完全に水面下になってしまった湯壷しかなくとても入れなかったとのこと。 地鉈温泉はなかなか一筋縄で行かないのだった!

 この後一旦キャンプ場に戻り、晩飯のための米を研いでからダッシュでカンビキの展望台に向かう。いい加減夕方だし別に行かなくてもいいのだが、せっかく式根まで来たのだから最高地点には足跡を記しておきたいという欲望には抗えなかった。 陽が落ちる前にたどり着くにはちょっときわどいかと思ったが、以前とは違い空荷だったため思いのほか時間がかからなかった。
 

カンビキ展望台から利島・大島方面を望む


竹内洋岳さんがダウラギリ山頂で撮った写真を真似して自分の影を映しこむ

 この後キャンプ場へ戻り、昨日と同じく美しい夕陽を堪能したのだが、水平線に陽が完全沈む直前に見えるという緑閃光(グリーンフラッシュ)は確認できなかった。