旅するザック〜薀蓄〜
さて、フレームザックが欲しいなあと思って動き始めてからもうすぐ2ヶ月。
人間何かが欲しいと思って動き回ると不思議と情報が集まってくるもので(いままで身近にあっても関心が無いから見落としてるだけという気もするが)、雑誌「山と渓谷」の今月号で「進化する道具」特集でワリと大きくフレームザックが取り上げられていたので要約してちょっと紹介したい。
フレームザックの原型は、木枠に帆布をかぶせたような構造の「パックボード」とされている。1920年にロイド・ネルソンがアラスカ原野行の経験を下に開発した「トラッパー・ネルソン」が有名で、「トラッパー・ネルソン」とこれに良く似た「ユーコンパックボード」で市場のシェアのほとんどを占めていたという。主に使われたのはボーイスカウトの現場のようだ。
トラッパーネルソン
ユーコン・パックボード
ユーコンパックボードを使う兵隊。入っているのはロケット砲?
重量のある木枠と帆布のパックボードを軽量なアルミパイプとナイロンで改良したのがディック・ケルティで、登場した「ケルティA4」は重量はそれまでのパックボードの半分、背負える荷物の重量は倍に増えたという。
フレームザックが一気にブレイクするのが、ベトナム戦争後のヒッピームーブメントで、生きていくのに最低限必要な生活用具一式をすべて背負い、歩くというバックパッカーのスタイルとマッチして支持されたようだ。
全盛期には現在カジュアル・ファッションとしても人気のあるノースフェイスや、「ザックのロールスロイス」の異名をとるグレゴリーの前身であるサンバードもフレームザックを作っていたようだが、グレゴリーが開発した「カシン」を初めとするインターナルフレーム(ザック内に背中に合わせて加工できる薄い鋼板が内蔵されている)の隆盛とともに製作するメーカーは減少しているようだ。
山と渓谷の記事で興味深かったのが、山岳用リュックサックのトップメーカー、ミレー(MILLET)草創期の製品。
8000メートル峰(アンナプルナ)の頂上に人類初めて到達したルイ・ラシュナルの為に作ったリュックは、ぱっと見はフツーのキスリングなのだが、その背面部分はスチール製の細いパイプフレームに蒸れ防止のバンドが装備されており、これこそがフレームザックの原型なのでは?と思わせるつくりなのだ。
ミレーは高峰アタック用のザックとして進化していったため現在のフレームザックのような進化はしていかなかったが(フレームザックを作ってはいたが、現在はラインナップから外れている)、こちらのほうに進化して行ったらどうなっていたのだろうか?
記事中では最新システム、マウンテンハードウェア・エクソダス(日本未入荷)のヒントになったのではと指摘されているが・・・。
さて、現在フレームザックを購入するとすると、オイラがやったようにREI、LLBeanなどの国際通販を利用するか、アメリカ国内限定のアウトドア通販サイトの商品を個人輸入代行業者を経由して入手することになる。
アメリカ国内限定サイトで見てもやはり入手しやすいのは草創のケルティと、D3,D5で大ブレイクしたジャンスポーツのフレームザック2大巨頭のようだ。 これにランタンで有名なコールマン、アウトドアプロダクツなどが続く。 他にはTexsports等大手スポーツ用品店のオリジナル物もあるようだ。
アメリカ国外のものだとナイフで有名なスイスのウェンガー、南極点一番乗りで名高いロアルド・アムンゼンも使用したノルウェーのベルガンスなどがあるが、高価な上にオークション以外での入手は難しいようだ。
ベルガンス・2800フィンマルク
制式軍用品なのかアーミーテイストが強い