八丈島旅行(その1)

 昨年は度重なる雨とギックリ腰のため泣く泣く中止となった八丈島旅行、天候にも恵まれ、ようやく決行の運びとなった。

 去年も同じ時期に行く計画だったのだが、皆さんご存知のとおり5月としては記録的な降雨量と日照時間の少なさに祟られ、延期を繰り返しているうちに梅雨に突入、挙句の果てにギックリ腰で身動きが取れなくなり、遂にお流れになってしまっていたのだ。 わざわざこんなものまで買ったのになんということか。

 今年もGW明けに計画していたのだが、当初の予定日に泊まりの仕事が入ってしまったり、週間天気予報を見て延期したら急に天気が良くなったりと今回も目に見えない何者かによる妨害工作の影を感じたのだが、準備をするだけしておいて直前の天気予報を見て当日決める!という体制で迎えた5月21日、翌日から曇り、晴れ、晴れ、降水確率20%以下という予報で遂にゴーサインが出た。


 さて、竹芝桟橋八丈島行きの船の出航時刻は22:30なので仕事場は8:00に出れば十分なのだが、交通量の多い六本木通りを夜走るのはちょっとイヤなので早めの17:30に職場を出た。普段より重量があるのでエアはカンカンに高くして8.5barをやや上回るようにしている。

 夕暮れ時の六本木通りを快調に飛ばす・・・・と言いたいとこなのだが、キャリアに荷物を満載して走るのは実に10数年ぶり、しかも今回は重心の高いロードレーサーなのでまだちょっと安定しない。 

 それでも東京タワーを間近に見るころには感覚も掴み、東京都民でもなぜかおのぼりさん気分になる芝公園周辺の独特のあの雰囲気を堪能しながら竹芝桟橋へと向かっていった。

 デカいビルに囲まれているためどっちへ向かえばいいのかわからなくなってしまったが、守衛さんに教えてもらい、ようやく乗船ターミナルに到着。

竹芝桟橋マスト広場前マスト広場前にて。まだこの時にはあんな悲劇が待っていようとは思いもしなかった。



 ただ、あまりに早いのでチケット窓口も開いていず、琉球海運石垣島行き航路でよく見られるような旅人の姿も自分を除けば一人としていない。 待合室にいるのはなぜかおしゃれに着飾った人たち(しかも美女多数)ばかり。

 八丈島行くのに何で胸元の開いたドレスやねん、と訝しく思ったが、これは東京湾クルーズ客船「ヴァンテアン」の乗客なのであった。

 この人たちが乗船してしまうとターミナルは閑散としてしまい不安な気持ちになるが、二時間半も前なのだから仕方がない。 オイラは飛行機でも船でもそうなのだが、毎回毎回出発時刻の一時間以上前に到着し、ベンチシートで無聊を囲うのが毎度のパターンだ。

 案内所で早めにチケットを購入するともうやることが無いので、売店でサンドイッチやスナックを物色。ここでは三宅島行きの乗客のためにガスマスクを販売しているのが印象的であった。
 パッサパサのまずいサンドイッチをコーヒーで流し込み、スナックを齧りながらお土産屋を冷やかしているとようやく船が入港して受託手荷物の受付が始まった。 早速外に停めてあった自転車を建物内に持ちこもうとしたら、何てこった!


 さっきエア入れたばっかりの

前輪がパンク

リムショットの記憶も無いから知らぬうちに鋲かなんかを踏んでいたのだと思うが、何のためにあんなに空気入れたんだか。仕方ないので向こうに着いたら修理することにして、そのまま自転車を預けようとしたら今度は

キャリアに括り付けてある

荷物を全部外せ

 と無茶なことを言う。琉球海運やオーシャン東九フェリーじゃそんな事一度も言われたこと無いのに! 交渉の末パニアバッグとフロントバッグはそのまま、ロールマットとテントだけはキャリアから外してザックにくくりつけて乗船することで勘弁してもらった。

 手荷物受付を済ませてしばらくするとようやくターミナル内に三宅島、八丈島行きの客が増えてきて賑やかになってきた。巨大なクーラーボックスと背負子にバッカン、という磯釣りスタイルの客が目立つ。ようやく伊豆七島に向かうという実感が湧いてきた。


かめりあ丸
 そして21:50いよいよ「かめりあ丸」に乗船。 がっくりするほど一人分のスペースが狭い2等船室にロールマットと寝袋を広げるがコーフンしているのでそうそう眠れるわけが無い。 自販機で購入したビールを煽って気を沈め、ようやく眠れそうな感じになってきたのだが、あっちこっちで

凄まじいイビキ。 
 
 ああ、そうだ、旅行のときは耳栓が必需品だったんだ。いままでユース泊まりや道路脇のキャンプ場でさんざん酷い目に遭ってんじゃん・・・。  10年ほどで完全に旅行勘を失ったのだが、カップ酒を大量に煽ったおっさん達のおかげで早くも一つ思い出すことになっってしまった。