菜の花畑で逢いましょう

 4月の浅間尾根予行演習として大楠山に行ってきた。

 自転車で青梅の吉野梅郷へ・・・というのもそそるモノが有ったが、いい加減登り坂に慣れとかんといかんよな、てなわけで延び延びになっていた大楠山に決めたのだ。

 トレーニング以外にももうひとつ、この時期の大楠山ならば山頂近くの菜の花畑が満開の可能性があり、それに賭けたというのもある。吉野梅郷の満開の梅には若干劣るとはいえ、充分に魅力的なのだ。ちなみに去年は三分咲きぐらいの時に訪れている

 ここんとこ夜更かしと遅起きが染み付いおり、自宅を出たのは九時半過ぎ。それでも補給食を買おうと思っていた安売り薬局はまだ開店していなかったので食糧の準備をしないまま電車に乗り込み、京急新逗子へと向かう。 前回と違い前田橋側から登り、横須賀側に降りる予定なのだ。

 新逗子でなんか買えるだろうと思っていたのだが、いいタイミングでバスが着たのでそのまま飛び乗ってしまった。 食糧の不安を抱えつつも右側を見ると、爽やかな陽気に真っ青な海で心が沸き立つ。今日は午前中は曇りの予報だったような気がするが、これだけ気持ちよく晴れたらもう言う事は無い。
 
 なんとなく直感的に前田橋の一つ手前、秋谷のバス停で降りる。この辺にコンビニが有ったような朧げな記憶があったからだ。 と、やはり前田橋バス停と中間ぐらいのところにコンビニがあった。今日は妙に冴えている。

 ここで梅干オニギリ、カロリーメイト、蒸しパンと滅茶苦茶な取り合わせで補給食を買い込み、イザ出陣。水は自転車用のボトルに750ccほど用意済みなのだ。

 前田川の遊歩道をずいずいと溯上すると、すぐに「森の中の川」のような雰囲気になる。実際にはすぐ横に住宅があって生活排水も流れ込んでいるのだが、不思議とそれを感じさせない。で、その雰囲気を一気に盛り上げると言うか、驚きの珍客が現われた。

 オイラの10mぐらい先にひょひょいと降り立ったそいつは、コバルト色とエメラルド色の中間のような羽をしており、しかもその羽がギラギラテラテラと輝いていた。

??????
・・・・・・・☆★☆????
???
  か
        わ         せ

                             み?
  おいおいマジかよ!と慌ててカメラを取り出そうとしたらあっという間に逃げられてしまった。 後で調べたら下山川と、その支流である前田川の下流域では時たま見られるんだそうで、見間違いではなかった。おそらくコンクリートで護岸が固められていないので営巣が可能だから生き残っているのだろう。  それにしてもあの羽の輝きは蟲惑的である。また逢えると良いのだけど。
 

このちょっと手前で逢いました。

 カワセミとの遭遇の興奮も覚めやらぬまま、登山道に入る。 依然来た時とかなり違い、かなりの部分が丸木を組んで土嚢が積まれた階段になっている。以前は表土剥き出しだったが、ハイカーとMTBerに少しづつ削られたところに雨水が流れ込んで流失し、抉られたようになってしまったのでその対策であろう。 歩き易くはなったのだが足の長さと階段の間隔が合わないのでなんか妙な感じ。

 しばらく歩いて気づいたのだが、前田川側からだと登りも緩やかで傾斜もほぼ一定なので、安針塚阿部倉温泉)側からよりもスムーズに登る事ができる気がする。 安針塚側からだと歩幅も傾斜もクソもなし、「とにかく最短距離で頂上まで繋ぎました!」のような無茶な階段があるので、実際の標高以上にハードな感じがするのだ。 あ、あと今日は余計な荷物(バーナーとかコッヘルとか)持ってないからというのもあるんだろうけど。

 しばらく行くと夫婦のハイカー(ダンナはオウム真理教の荒木広報部長に似ていた)とすれ違ったので、それとなく菜の花の開花状況を聞いてみると、

「いやもう、すっごく綺麗ですよう!!!」

と、感に堪えない、といった様子で大絶賛するのだ。ここまで自信満々に褒めるのは久里浜のルアー釣り師ぐらいのもんである。弥が上にも期待は高まる。


で、山頂近くに到着すると。

パンパカパーーーン





月並みな表現だが、黄色い絨毯、てな感じだろうか。ヴ〜ンヴ〜ンという音が気になるが(そうです、狂喜してる花蜂&蜜蜂の羽音です)、襲い掛かってくるわけじゃ無いしまあ良いじゃないの。

ここでオイラも展望塔に登り、蜂さんと一緒に軽食タイム。


オニギリをたいらげたらすぐに歩みを再開し、山頂へと向かう。 山頂の展望台はさすがに風当たりが強い。


空気はやや澱んでいるようだ。

 山を降りてからの予定もあるのでここではあまり休憩せず、ダッシュで下ることにしたのだが、ホントに山頂直下の階段の段差と角度はむちゃくちゃである。 下る毎に膝にズガンズガンというような衝撃が来る。 マッタリ上り下りしたい人は行き帰りとも前田川側からのほうがいいかも知れんね。

 急傾斜部分をクリアすると分岐があり、阿部倉温泉方面と衣笠城址方面に分かれているのだが、せっかくだし初めての衣笠方面にした。 歩いてみると衣笠ハイキングコースのほうは途中車道に切られているところがあり(しかも産廃処理場のトラックが頻繁に行き来している)、ちょっと興醒めな部分もある。 尤もこれは安針塚塚山公園阿部倉温泉の途中何箇所も普通の道路を通らないといけない阿部倉温泉側のルートも同じ事だから、仕方が無いだろう。

 衣笠城址は特に見るべきものも無かったんでさっさと引き上げ、バスに乗って横須賀中央へ向かう。 横須賀中央からは先に来た電車によって城ヶ島か燈明崎か向かう事に決めていたのだが、先に来たのは浦賀行き。てなわけで燈明崎行き決定。

 浦賀から千代ヶ崎経由久里浜行きバスに乗って燈明堂入り口下車徒歩十分、てなところだが、なにぶんこのアプローチルートがよろしくない。 昔は住友重工の橋梁部門の工場があったらしいが、跡地が放ったらかしで荒れ放題なので殺伐としている事夥しい。
ボロボロになったナントカカントカリゾート開発の看板がまたもののあはれを増幅している。バブルの時に再開発しようとしてしくじったか、話が出ては頓挫しているのか。

 が、到着した燈明崎は思いのほかいい雰囲気のところだった。公園の左半分で工事をやっているのでかなり割り引かれているのだろうが、それでもなかなかイイ感じである。








昔の燈台、燈明堂を再現した物。




特に海岸周辺は夏場にきたら磯遊びやシュノーケリングに良さそうである。
アプローチの道路周辺をもうちょっと何とかすればブレイクしてもおかしくなさそうなのだが・・・。
浦賀マリーナのあたりなんかはかなり良い具合に仕上がっているのだし。

なんとなく余計なお世話な事を考えながら燈明崎を後にして本日のハイキングはおしまい。